婦人科の腹腔鏡手術|TOP > 安藤正明の婦人科疾患の腹腔鏡下手術
がんの手術は再発を予防するため病巣とともに正常組織も摘出します。 このため手術の及ぶ範囲は広くなり、開腹の場合極めて大きな切開創を残すことになります。その場合、術中の出血が多く、術後の癒着、痛みが強く、回復の遅れが大きな問題となるのです。
低侵襲である腹腔鏡下手術は、がんのような大きな手術を受ける患者さんにこそメリットの多い術式と言えます。腹腔鏡下手術の場合、術後の回復は驚くほど早く、もともと元気な方は翌日から歩行や食事が可能となります。輸血を要す例はほとんどありません。
そのなかで近年、医療のめざましい発展に伴い、腹腔鏡下手術の対応症例の拡大とより低侵襲の術式の開発が進んでいます。以下では、安藤正明が手がける子宮がんの腹腔鏡下手術の症例と、最新の術式についてご紹介します。
低侵襲の子宮頸がんの手術
子宮頸がんの腹腔鏡下手術のメリットは、骨盤の深部への到達が容易で映像を拡大しながら手術を行えることです。これにより、開腹手術より精密な手術操作が可能となり、術中の出血は極めて少なく輸血を要す場合はまれとなりました。また、病状によっては膀胱機能の温存や腟の短縮の防止も可能です。
- 腹腔鏡による子宮頸がんの手術
- 腹腔鏡下広汎性子宮全摘術
- 腹腔鏡下骨盤神経温存広汎性子宮全摘術
- 腹腔鏡下腟温存広汎性子宮全摘術(腟延長術)
- 腹腔鏡下子宮温存広汎性子宮頸部切除術
浸潤の認められる進行した子宮頸がんでは、通常子宮を全摘出します。しかし、がんの存在する子宮頚部のみを切除することでがんの全摘出を行いつつ、妊娠する機能を残す手術方法「広汎性子宮頸部切除」を安藤正明が日本で最初に行いました。 安藤正明は、将来妊娠したいという強い希望がある若年の子宮頚がんの患者さんの手術に、この「広汎性子宮頸部切除」を採用しています。「広汎性子宮頸部切除」を腹腔鏡で行えるのは現在、日本では安藤正明ただ一人です 。
安藤正明が勤める倉敷成人病センターでは、2001年から腹腔鏡下手術による広汎性子宮全摘術を施行しており、これまで50症例の実績があります。そのうち2010年10月までに7名の患者さん(いずれもIb期、扁平上皮がん)が妊娠・出産まで至っており、7名のうち2名の患者さんは2回の出産をしています。これまで腹腔鏡下手術による広汎性子宮全摘術のうち再発例はありません。
子宮体がんの手術~体のダメージを軽減させるために~
安藤正明は、子宮体がんの手術に後腹膜(腹側部からの)アプローチによる腹腔鏡下手術+リンパ節郭清(切除)を採用しています。
開腹手術でリンパ節郭清を行うと大きな傷が残り、体に大きなダメージを与えてしまいます。腹腔鏡下手術の後腹膜(腹側部からの)アプローチによるリンパ節郭清であれば、開腹に比べて傷が小さく、体のダメージも抑えられます。術後の早期回復や早期社会復帰、傷が目立たないなど、患者さんにとって多くのメリットがあります。
後腹膜(腹側部からの)アプローチによるリンパ節郭清のメリット
- 傷が小さくほとんど目立たない
- 手術後の回復が早い
- 早期に社会復帰できる
- 腸管への影響がほとんどない
- 出血が少ない
- 術後の化学療法、放射線療法がスムーズに進められる
おへそからアプローチする単孔式腹腔鏡下手術
従来の腹腔鏡下手術は、腹部に3~4箇所の穴を開けて手術を行います。単孔式は、おへそに1箇所のみ穴を開け、そこから腹腔鏡や複数の手術器具を挿入して手術を行います。傷がおへそだけということもあり、傷の治りが早く回復も早いのが特徴です。また、従来の腹腔鏡下手術に比べて傷がほとんど目立ちません。腹腔鏡や鉗子などの手術器具は上下左右に曲がるため、フレキシブルな手術操作が可能です。
安藤正明は、卵巣のう腫の手術や子宮全摘術において2009年から単孔式腹腔鏡下手術を採用し、今までに100症例以上の実績を誇ります。また、一部の婦人科がん手術にも適用しており、モニター映像の解像度の改善や最新機能のついた鉗子の導入により、今後はさらに幅広い症例にも対応していく予定です。先端の医療技術「単孔式」と高度な操作テクニックで、体に傷を付けたくない、早く社会復帰をしたい、といった患者さんの治療に対するご希望にお応えできるように配慮しています。
お腹に傷がほとんど付かない経腟腹腔鏡下手術
腟から腹腔鏡や鉗子などの手術器具を挿入して手術を行うのが経腟腹腔鏡下手術です。従来の腹腔鏡下手術と比較して、さらに傷が目立たない、さらに痛みが少ない、回復が早い、入院期間が短いなど、負担が少ない手術が行えます。また、安藤正明は経腟式手術と腹腔鏡下手術の豊富な実績から培った高度な技術で、新たに超低侵襲(傷が小さく回復が早い)な手術を考案し、その方法でも手術を行っています。
安藤正明が考案した経腟腹腔鏡下手術
腟からは内視鏡を挿入し、腹部に3mm、おへそに5mmの小さい穴を開け、その2点のみから鉗子などの手術器具を操作して手術を行う手術方式です。通常の腹腔鏡の1/6以下の傷の大きさですみ、傷痕はほとんど目立ちません。お臍の変形もほとんどないので美容面での影響はほとんどありません。従来の腹腔鏡下手術に比べて、痛みが軽く術後の回復も早くなります。