婦人科の腹腔鏡手術|TOP > 婦人科手術を検討している全国の患者さんへ
婦人科手術を検討している全国の患者さんに向けて、よくあるご質問をQ&A形式でご紹介します。婦人科疾患や手術に対する、よくある不安や疑問についてお答えしています。ぜひご参考ください。
- 腹腔鏡下手術を行う医師・病院の失敗しない選び方を教えてください。
- 内診は必ずしなければいけませんか?
- どんな麻酔で腹腔鏡下手術をするのですか?
- 子宮筋腫の腹腔鏡下手術は何日くらいの入院が必要ですか?
また費用はいくらくらいですか? - 腹腔鏡下手術による広汎性子宮全摘術は何日くらいの入院が必要ですか?
また費用はいくらくらいですか? - 腹腔鏡下手術後何ヶ月ぐらいたったら妊娠してもかまいませんか?
- 腹腔鏡下手術術後どのくらいで性交渉が可能ですか?
- 妊娠中ですが、卵巣のう腫が発見されました。手術しなければいけませんか?
- 妊娠中ですが、子宮筋腫が発見されました。手術しなければいけませんか?
- 日本産科婦人科内視鏡学会から先日(2014年5月21日)「腹腔鏡下の子宮摘出術と子宮筋腫核出術における電動モルセレータの使用について」という案内が出されましたが、心配ありませんか?
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腹腔鏡下手術は、手術器具の操作などに高度な技術を要する手術方法です。ですから、執刀医の技術レベルは重要な判断基準になります。腹腔鏡下手術における高度な技術を持つ医師かどうかは以下で見分けられます。
- 腹腔鏡下手術の認定医(日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医)であるか・・・腹腔鏡下手術を安全・適切に施行できる技術を有し、指導できる技量を有していることを認定する制度があります。技術認定医であるかどうかは、医院のホームページなどの医師紹介のページで確認できます。
- 腹腔鏡下手術の症例数を確認する・・・手術経験が多いほうが、高度な技術が身につけやすいと言えます。医院のホームページで手術症例を公表している場合がありますので、確認してみましょう。
- 手術の説明をきちんとしてくれる・・・当たり前のことですが、手術のメリットとデメリットをきちんと説明してくれる医師を選びましょう。デメリットを含めた情報開示をきちんと行わない医師は、患者さんへの説明責任を果たしておらず真摯に対応しているとは言えません。
- 相性が合うかどうか見極める・・・医師と言えども一人の人間ですから、人間性はさまざまです。患者さんにとって合う合わないはあるでしょう。診察時などに話していて「相性が合わないな」と思ったら、他の医師、医院を検討することも考えましょう。何より患者さん自身がすべてを納得して治療を受けることが一番大切なのです。
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内診では、子宮の大きさ、硬さ、疼痛(とうつう)部位の存在、可動性、卵巣の腫れ、子宮や卵巣と膀胱、直腸の関係など多くの情報を得ることができます。そこから子宮の状態を把握したり病気の可能性を推測したりすることができるのです。また、粘膜をとって調べる細胞診では、がん細胞の有無を調べることが可能です。
婦人科疾患にとって内診は診断上重要です。患者さんにとっては決して気分の良くない診察であることは重々承知していますが、非常に大切な診察ですので何卒ご理解・ご協力のほどをお願いいたします。
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腹腔鏡下手術の場合、全身麻酔だけか全身麻酔と硬膜外麻酔の併用で行います。
全身麻酔・・・
鎮痛、鎮静、不動化などの目的で行います。通常、静脈麻酔を行い酸素吸入をして麻酔を開始します。全身麻酔では呼吸も止まってしまいますので、口から気管にチューブを挿入し人工呼吸器にて呼吸管理を行います。硬膜外麻酔・・・
手術中は痛みを取り除くなど、全身麻酔の補佐的な役割を果たし、術後は持続的に麻酔薬を注入できるので、術後の痛みを和らげることができます。硬膜外麻酔は、脊椎(背骨)の中にある脊髄に針を刺し、その中にカテーテルを通し脊髄を包んでいる硬膜の外側(硬膜外腔)にカテーテルを留置しそこから麻酔薬を注入します。
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入院期間は約7日です。手術費と入院費で患者さんのご負担は21~22万円程度になります。退院後の安静の目安は一般的に7~10日間程度です。手術後の経過等により費用の増減があります。
入院期間は約10日です。手術費と入院費で患者さんのご負担は3割負担で45万円程度になります。通常、退院後1週間程度で社会生活が可能となります。手術後の経過等により費用の増減があります。
患者さんの状態によって異なりますので一概にはお答えできません。目安としては、子宮筋腫核出術は術後3ヶ月以上経過後です。内膜症の手術は術後1回の月経後より可能です。また、子宮頸がんの広汎性子宮頸部切除術は、術後半年以上経過していれば妊娠可能と考えます。
手術後の経過によりますので一概に言えませんが、子宮内膜症の手術では順調にいけば術後1週間ほど、子宮筋腫核出術では1ヵ月後、子宮全摘後では3ヵ月後で性交渉を許可しています。術後、担当医がご説明します。
妊娠中の卵巣のう腫に対してはのう腫の形状と大きさにより、手術を行うかどうか判断しなくてはいけません。また、妊娠中に手術をし易い時期があります。腹腔鏡下手術で行うことも可能ですので、早めにご相談下さい。
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妊娠中の子宮筋腫に対しては手術を行わず、保存的に経過観察を行うのが原則です。しかし、妊娠中は子宮筋腫が大きくなることがあり、妊娠・出産に悪影響を与える場合があるため、なかにはやむを得ず手術を行う場合もありますが非常に稀です。手術するかどうかは、子宮筋腫の大きさ、症状、患者さんの状態、ご希望を充分に考慮して決定します。基本的には腹腔鏡下手術では行いません。
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子宮筋腫核出術におけるモルセレーター使用に関して 子宮筋腫核出術の時には子宮から摘出した筋腫をモルセレーターという機器を使ってお腹から取り出すことが一般的ですが、 2014年5月より世界的に販売が停止となっております。 当院では子宮筋腫核出術は、以前よりモルセレーターを使用せず、NOSE(Natural Orifice Specimen Extraction)法にて行っております。 モルセレーターを使用すると筋腫の細かい破片が残る可能性があることが問題となっておりますが、 NOSE法では筋腫の細かい破片をお腹の中に残さずにきれいに取り出すことが可能となりますので、ご安心して手術を受けて頂けると思っております。